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投稿日:2024.07.01

2024年7月号

カボチャの馬車事件

先日ある講演会で世間を騒がせたある裁判に携わった弁護士の河合先生という方のお話しをききました。凄く面白かったのでお話ししたいと思います。

皆さんカボチャの馬車事件を覚えていらっしゃいますか?スルガ銀行の不正融資事件です。
2019年の事なのでもう5年ほど経っていますが、かいつまんでお話しをまとめると運営会社と不動産会社、銀行がグルになってサラリーマン投資家を騙したというものです。

事の発端は河合先生のところに被害者の方々が弁護人になってほしいという依頼があったそうです。東京中の弁護士にお願いに回ったところ、全て断られて最後に河合先生にたどり着いたとの事。
断った理由は銀行相手に戦っても勝てる見込みが無いからと言う理由だそうです。河合弁護士も断ろうかと思ったそうですが身内に被害者がいた事から条件付きで引き受けたそうです。何せ銀行相手に戦うのですから躊躇するのは無理もありません。裁判に勝つ為には不正融資の証拠が決め手になるのですがそこがかなり面白い内容でした。

融資には自己資金が必要なのですがそれを水増しして、あるように見せかけていたという事なのです。ちなみに通帳の残高を改ざんするソフトがあるそうでそれを使って偽装して銀行へ提出していたのです。 
そしてトドメは加担していた不動産会社の社長が銀行員から水増し金額を指南された会話を録音していたのです。これがスルガ銀行を追い込んだ決め手になったそうです。

これを機に形勢が被害者側に一気に傾き交渉を優位に進めることができたそうです。このあたりのお話の内容はもうドラマの世界みたいでした。
最終的に被害者は代物弁済という形で借金は帳消しになりました。 当初、対象となったのは調停を申し立てていたオーナー257名(被害総額約440億円)でしたが、その後2021年3月には285名(被害総額約440億円)、4月には404名(被害総額約605億円)についても調停が成立。
「かぼちゃの馬車事件」は全面解決を迎えました。

借金が完全になくなったこの解決策は「令和の徳政令」と呼ばれました。 (徳政令とは、鎌倉時代などに幕府がつくった「借金を返さなくてよい」法律です。)  弁護団がスルガ銀行に対し、粘り強く交渉を続けなければこのような結果を勝ち取ることはできなかったでしょう。
この事案を通して思うことは信用のある人(機関)からの案内・斡旋などに対して人は思考停止状態になるということです。とても恐ろしいなと感じます。
投資とは自ら考察し判断するもので自己責任であること言うまでもありません。しかしながら思考停止をいい事に不正融資に加担するやからは許せません。

今回はドラマの様なリアルな話をご紹介してみました。そんな私はドラマの見過ぎですかね?


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